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2022.06.
21

売買のときの『受忍限度』

土地

建物

契約

『受忍限度(じゅにんげんど)』

って聞いたことがありますか?

 

騒音・振動・悪臭などのもめ事で

たびたび出てくるキーワードです。

 

辞書なんかの解説では、

「被害の程度が社会通念上我慢できる範囲」

などと出てきますが、

いまいち、すっと理解できません。

 

もっと思い切って簡単に言っちゃうと、

「ある程度はお互い様なのだから、目くじら立てずに済ますべき範囲」

って感じでしょうか。

 

街では、人が集まって生活している以上、

音・振動・臭いは互いに発生させるので、

個人の感覚で「我慢の限度」を決めては

安心して生活できません。

 

そこで、多くの市町村では、

騒音・振動・地盤沈下・悪臭・水質汚染・大気汚染・土壌汚染の基準値

を条例で決めたりしています。

 

そして、

この基準値を超えた時にはじめて

「それはさすがに不法行為だ!我慢できない!」

となり、損害賠償請求などで

相手の責任を問えることになります。

 

逆に言えば、

「その範囲内は我慢しろ」

ってことですね。

それが社会のルールです。

 

でも、です。

 

不動産売買のときは、

この「限度」のハードルが

グッと下がる場合があります。

(売主や業者は要注意です!)

 

「それを知っていれば購入しなかった!

購入判断に影響したんだから、

重要事項説明違反に当たるぞ!」

 

確かに「買う・買わない」の判断は

とても個人的なものです。

 

買主は、匂いや音に

特別敏感な体質の人かもしれません。

病気の家族がいるのかもしれません。

 

先述の「社会的な受忍限度」とは

別次元の判断で購入を決めても

決しておかしくはないのです。

 

とはいえ、そういう心理的瑕疵を

無制限に報告することはできません。

 

売主や仲介業者にとっては

とても難しい問題ですが、

筆者が思う対策を二つ紹介しましょう。

 

一つは、

あらかじめ当事者間で、

「法令基準値内にある環境汚染に関する瑕疵の範囲については、心理的瑕疵には含まれない」

とする特約合意を交わすことです。

 

もし買主に特筆すべき注文がある場合も、

この時点で判明しますので、

事前対応することができるはずです。

 

二つめは、

「契約前には必ず、周辺環境等は、買主ご自身の五感で実地に検分してください」

と必ず伝えること(出来れば文書で)です。

本来、主観的な事柄などは、

買主自らが調査する責任があると思います。

 

売主や仲介業者の側も、

買主の購入動機にもっと

細心の注意を払うべきです。

 

そうした細かな事の積み重ねで、

この種のトラブルを未然に

防いでいただきたいと思います。

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