土地
その他
この前、明治維新を境に、日本人の土地に対する権利意識が
「用益権」から「所有権」へ大きく変わった話をしました。
具体的には、明治6年(1873年)の地租改正で、
日本ではじめて土地の私的所有権が認められました。
でも、ほとんどの一般国民は、その時は意味がよく分からなかったと思います。
「年貢を取る相手が藩から国に代わり、米の物納から現金徴収に変わった」
そんな感覚だったろうと思います。
ですから、明治22年に始まった「土地台帳附属地図」作りも、
自分の資産台帳というよりは“年貢取り立て台帳”みたいな、
そんなイメージだったのではないでしょうか。
事実、固定資産税台帳の原型でもあるのですから。
そんなこんなで、出来上がった土地台帳附属地図は、
国民の意識と技術不足の両方から、とても精度の悪い代物でした。
でもそれが、今日の公図の原型です。
しかも今なお、そのままの地図が利用されている地域がまだまだ多いのです。
明治29年に「不動産」という用語が登場し、国民の意識も変わる中で、
やがて正しい地積図の編成は、国の一大目標となりました。
“悲願”といってもいいかもしれません。
でも、残念ながら、今も遅々として進まないのが現状です。
昭和26年の開始から半世紀以上経った平成29年度末の時点で、
地籍調査の進捗率は、なんと未だに52%だそうです。
しかも地価が高い都市部(人口集中地区)が25%と最も低い!
何故なんでしょう?
正直答えはよく分かりません。
でも、謎を少しでも解明したいです。
安全な不動産の運用や取引に欠かせないことですから。
なので、地籍調査を取り巻く環境の話題も、
これからも粘り強く取り上げていこうと思います。
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