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先週、『不動産』という言葉が、明治になって初めて登場した、
ラテン系用語の翻訳だと紹介しました。
ですから、当時の人には聞きなれない、全く新しい概念の言葉でした。
それ以前の日本では、動産を「もの」、不動産を「ところ」と呼んでいました。
「もの」の方はまあ、今とそれほど変わらない感じもしますが、
「ところ」の方は、実は今とずいぶん感覚が違ったらしいのです。
「ところ」の語感は、明確に区切られた場所の所有権を表すというよりも、
その場所の“用益”に誰が権限を持っているか!を表していたようです。
例えば田んぼの場合、生産物の米に対する権限は領主が持っているので、
実際に田を管理・運営している農民は、自分の土地(田)をむしろ小さく見せて、
年貢の義務を少なくしようと努力しました。
(その痕跡は、農業地帯の古い公図などに今も残っています)
現代の収益地の賃借ともまたちょっと違うこの感覚が、
つい百数十年前までの日本人共通の観念だったとしたら、
古い土地ほど境界が明確でないところが多いのも、うなずける気がします。
(明治以降発展した大都会にも境界不明瞭な所が多いのは、
また違った理由があるようなので、これは別でおいおい…)
何にせよ、土地の境界問題は、日本の不動産取引で一番多い紛争原因です。
関係者の大変なご苦労にもかかわらず、遅々として進まない地積調査のことなども含め、
境界のことは折に触れこのブログでも取り上げていきたいと思います。
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